ある日の夕方、実家で長年使っていた手提げ金庫を整理しようとしたところ、いつも使っているはずの鍵がどれだけ探しても見つからないという事態に陥りました。中には母の形見の貴金属や実家の権利証が入っており、一刻も早く取り出さなければならない事情がありました。パニックになりながら、私はスマートフォンで「金庫鍵開け 相場」と検索し、いくつものサイトを読み漁りました。最初に目に入ったのは「激安!二千円から」という文字でしたが、読み進めるうちにそれは出張費のみだったり、簡単な鍵の場合のみだったりすることが分かり、実際の相場はもっと高いのだということに気づき始めました。 不安な気持ちのまま、評判の良さそうな業者に電話をしてみました。オペレーターの方は非常に丁寧で、金庫のタイプを確認した後、「手提げ金庫のシリンダー解錠でしたら、相場としては八千円から一万二千円ほどになります」とはっきりと教えてくれました。それを聞いて少し安心し、正式に依頼を出すことにしました。到着した作業員の方は、私の焦りを察してか、すぐに作業に取り掛かってくれました。手提げ金庫といっても最近のものは防犯性が高く、内部がピッキングしにくい構造になっていたようですが、作業員の方は専用のピックを使って鮮やかに解錠してくれました。作業時間はわずか十分ほどでしたが、その鮮やかな手つきに、これがプロの技術料なのだと納得しました。 最終的な請求額は、電話で聞いた相場の範囲内である一万五百円でした。内訳は、基本料金が五千円、技術料が五千円、それに消費税といった具合でした。ネットで見た極端な安値に釣られなくて本当に良かったと思いました。もし、出張費だけで数千円を請求され、現場で「この鍵は特殊だから」と言われて数万円を吹っかけられるような業者に当たっていたら、嫌な思い出として心に残ったことでしょう。適正な相場を知っていたことで、自分の中で予算の目処が立ち、冷静に作業を見守ることができたのは大きな収穫でした。 この一件で学んだのは、金庫鍵開けの相場というものは、安心感を得るための保険料のようなものだということです。大切なものが入っている金庫だからこそ、誰にでも開けられるような安っぽい技術ではなく、信頼できるプロに正当な対価を支払って開けてもらうべきです。今回の費用は、鍵を紛失したという私の不注意に対する授業料でもありますが、同時に、何かあった時に頼れる専門家がいるという安心感を知るための対価でもありました。もし、皆さんの周りで金庫が開かなくて困っている人がいたら、私はまず「極端な安値に惑わされず、まずは相場を調べなさい」とアドバイスするつもりです。それが、大切な中身と、自分自身の心を守るための最善の方法だからです。
突然金庫が開かなくなった私の解錠体験記