子供が成長し、思春期に差し掛かると、多くの家庭で「子供部屋に鍵を付けるべきか否か」という問題が浮上します。子供は「プライバシーが欲しい」と主張し、親は「部屋に閉じこもってしまうのではないか」「中で何をしているか分からず心配だ」と懸念する。この問題は、どちらか一方の意見だけで決めるべきではなく、親子間の信頼関係とコミュニケーションが試される、非常にデリケートなテーマです。まず、子供が「鍵が欲しい」と言い出した時、その気持ちを頭ごなしに否定するのは避けるべきです。それは、子供が自立した一人の人間として、自分だけの空間、つまりパーソナルスペースを求めている、成長の証なのです。友達との電話や、趣味への没頭、誰にも見られたくない日記。そうしたプライベートな時間を尊重されることは、子供の自己肯定感を育む上で非常に重要です。鍵があることで、子供は「自分の城」という安心感を得て、精神的に安定することができます。一方で、親が抱く心配も当然のものです。鍵をかけることで、親子のコミュニケーションが希薄になったり、子供が問題を一人で抱え込んでしまったりするリスクは確かに存在します。また、地震や火災といった緊急時に、部屋の中から応答がない場合の安否確認が遅れるという安全上の懸念もあります。この問題を解決するための鍵は、親子でしっかりと話し合い、明確なルールを作ることです。例えば、「食事の時や家族団らんの時間は、必ず鍵を開けてリビングに出てくる」「緊急時には、親が合鍵を使って入ることを了承する」「ノックをして返事があったら、鍵を開けて親を入れる」といった、お互いが納得できる約束事を決めるのです。また、製品選びの工夫も重要です。室内の鍵付きドアノブの中には、内側からは施錠できても、外側からはコインなどで簡単に開けられる「非常解錠装置」が付いているものが多くあります。これを採用すれば、プライバシーを尊重しつつ、万が一の際の安全性も確保できます。
子供部屋に鍵付きドアノブは必要か