「家に帰ってきたら、誰もいないはずなのに、寝室のドアに内鍵がかかっていて入れない」。そんな、まるでポルターガイストのような、不可解な現象に遭遇することがあります。しかし、その原因のほとんどは、心霊現象ではなく、ドアの「ラッチボルト」の構造的な問題や、ごく自然な物理現象によって説明がつきます。この謎を解き明かすことで、無用な恐怖から解放され、正しい対処法を見つけることができます。原因の一つとして考えられるのが、「ラッチボルトのストライクへの不完全な収まり」です。ストライクとは、ドア枠側にある、ラッチボルトが収まるための金属製の受け皿のことです。ドアが閉まる際、ラッチボルトがこのストライクに「カチャン」と完全にはまりきらず、先端だけが軽く引っかかっている状態になることがあります。この状態で、部屋の窓が開いていて、強い風が吹き込むなどしてドアに圧力がかかると、その衝撃でラッチがさらに奥に押し込まれ、ドアノブを回しても簡単には開かない、ロックされたかのような状態になるのです。もう一つの原因は、「インテグラル錠」や「円筒錠」といった、古いタイプのドアノブに見られる現象です。これらのドアノブは、内側のボタンを押すことで施錠しますが、ドアを開けたままこのボタンを押し、そのままドアを閉めると、閉じた瞬間にロックがかかってしまう「自動施錠」のような状態になります。外出する際に、気づかないうちにこのボタンに触れてしまい、そのままドアを閉めてしまうと、誰もいない部屋に内鍵がかかる、という怪奇現象が完成するわけです。このような場合の開け方としては、まず、ドアを強く押したり引いたりしながら、ドアノブをガチャガチャと回してみるのが有効です。ラッチボルトへの圧力を変えることで、引っかかりが外れることがあります。また、ドアとドア枠の隙間に薄いカードを差し込んでラッチを押し込む方法も試す価値があります。原因が分かれば、怖がる必要はありません。冷静な対処で、謎は必ず解けます。
誰もいないのに内鍵が…!ラッチの誤作動と風が原因?